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踵の痛み

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主訴:右踵の痛み

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その他の症状としては
右膝裏の痛み、疲れやすい、頭が重い、みぞおちの痞(つかえ)、眼精疲労、排便後の直腸の痛み

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加療中の病気は、肝硬変

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いずれの症状も一ヶ月以上続いている。本人曰く、自然に軽快するような感じがしない。
見た目にも大変きつそうである。

踵、膝は整形外科を受診しており、骨には異常は無いようだ。

肝硬変は、輸血後のC型肝炎が原因とのこと。
現在は、大学病院へ週3回の頻度で点滴をしている。
何を点滴してるのかは不明。

痛みの為に、踵を床に着けて歩くことが不可能な状態

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生命力を強化するために、腎・脾の働きに関するツボを選んだ。
特に、右の太白(たいはく)は丁寧に補う。
その他、身体の正中線の気の流れを調える。
踵の痛みには、右小指のツボにお灸。

施術中、肝臓・横隔膜の部位から邪気の噴出が多かった。

初回施術後
右踵の痛みはほとんど消失し、踵を着けて歩ける様になっている。
右膝裏の痛み=消失
胸の痞(つかえ)=良好。
声に力が出ている。

踵の痛みは、気の滞りが主であったらしく
一回の施術でかなり改善した。

2回目の施術も同様に行った。
食欲不振、疲労感も少なくなっている。

以後、健康維持のために施術を継続。

切り傷と灸

先日、ストーブの掃除をしていたら金具で指を切ってしまいました。 DSC06685

深さ2ミリ長さ6ミリほどの傷、

ジンジンとした疼きや傷口周辺の腫れが顕著。

幸いに出血も直ぐに止まりましたが、すぐにぱっくりと傷口が開きそうな感じです。

この様なときは、傷口にお灸をします。

灸には止血作用があり、傷の回復が促されるからです。

お灸の止血作用は古くから認められていたようで、 源平合戦の記録などにも灸の文字が散見されます。

翌日には、傷口はしっかりと閉じて腫れはなくなり痛みもかなり消えました。

2日目には違和感なくなり、通常通り指を使用出来るようになりました。

いつも手の届くところにモグサと鍼があるので、重宝しています。

 

涙管の閉塞

涙が出ると同時に鼻水も出てくるのは なぜでしょうか?

涙が涙管を通って、鼻へと流れるからなのですよ。

この涙管が塞がると、涙の行き場が無くなって目から涙が溢れてしまうんですね。

眼科では、シリコンチューブを涙管に挿入して涙の流れを確保することもするようです。

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涙管の閉塞 違和感の図

ある冬の寒い日、50代の女性が来院した。

30年前に

右涙嚢が腫れて涙管が詰まり易くなり

3年前から

シリコンチューブを挿入し留置している。

現在は、

月2回の眼科通院で涙管の通り具合を診てもらっている。

使用目薬:サンコバ、タリビッドを点眼している。

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  • 疲労時、右目から頬にかけて重たい感じが出現
  • 舌の奥の違和感
  • 右頸から肩にかけてのコリ 涙が溢れる。
  • 特に冷たい風に当たると悪化する。

等の自覚症状がある。

チューブ留置にもかかわらず 涙が良く溢れ出るので、

いつでも涙を拭えるように 就寝時でもハンカチを手放せない。

早期にチューブを取り除きたいが

未だに涙の通りが良好といえず 、予後に不安を感じている。

当院へは、

チューブが取り除ける状態に少しでも近づけたいとの希望で来院。

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○鍼灸施術

全体の氣の流れを整えたうえで

留置チューブ周辺の血流改善を目的に

週に2および3回の頻度で施術を行った。

2週間後

  • 涙の量が減少し溢れにくくなっている。
  • 涙の質がサラッとした感じに変化する。
  • 舌の奥の違和感が減少
  • 頸肩のコリが軽快

半年後

  • 涙の流れが良好となり眼科にてチューブを抜去。

抜去後

  • 再び閉塞すること無く、経過は良好であった。

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施術開始からしばらくは、鍼灸の効果に不安を感じておられましたが、

二週間ほど経過して涙の量や質がはっきりと変化してからは、不安感は次第に解消されていった様子でした。

固定した症状の治療には、中長期の視点で臨むほうが焦りも出ずに精神的に余裕が生まれます。

結果として、かえって早く効果が出ることになるでしょう。

東洋医学では「涙は肝の液」とあるように、肝の蔵と深い関係がありますので、これを意識しながら全体を診ていきました。

鍼灸治療で治癒力が高まり、今まで受けていた治療がさらに有効となったことで良い結果に結びついたと思われます。

 

◎参考

便秘のツボ

ある日の患者さんとの会話から

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○先生、この前
私にどんな治療したんですか?(=_=)

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◎えっ!
何か問題でもあったんですか。(∵)?

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○大変だったんですよ。
あれから、何度もトイレに行って。。。。(*o*)

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◎そういえば、
便秘ということだったので、腸を動かしたかな。

出たんですね。良かった。良かった。(^~^)

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○それは嬉しかったんですけど。

せめて、自宅に帰るまで出ないようにできませんか。(~。~)

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◎そうですね-。できるかな-。(*゚с゚*)

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全身調整の後、
大腸に関連するグループから
合谷(ごうこく)を選択する。

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必要があれば、手掌や耳のツボを加える。

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腸が動き出すのを確認して、後はからだにおまかせ。

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注)ツボの効果には、個人差があります。

平成壬辰年 雨水

 

耳痛

ある夏の日の朝、7才の息子が両耳が痛いと訴えた。
昨日の午後から左耳が痛み出し、今日は両耳となっている。
このところ、水泳によく行くので中耳炎かと思ったが、
耳鼻科を受診するも、特に炎症も無く、様子見と言われた。
夕方、鍼術を施した。
直後から痛みは軽くなる。
翌日、だいぶ良い。
左耳を手掌で圧すと、まだちょっと痛むそうだ。
二回目の施術。
翌日には良くなっていた。
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目耳鼻の症状では、腹部にあるツボを良く使う。
子供の場合は鍼は刺さなくても十分反応する。
お腹は、くすぐったがるので服の上から治療した.

平成庚寅年 処暑

唇のピクピク・ヒリヒリ

ヒリヒリ・ピクピクの部位

ある年の春、30代の女性が唇の違和感を訴えて来院した。

2-3日前より、急に上唇の右側がピクピクと痙攣するようになった。
同時に、上唇全体がヒリヒリと痛み、これらの症状が終日持続している。
唇に熱を感じるので、自宅にあった保冷剤で冷やしてみたが
症状は改善しなかった。

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診てみると,確かに唇に熱がある。全体に腫れた感じ。

先ず、全体の気の流れを調えてから
唇の熱を散らし、腫れが引くように施術して治療終了。

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2日後来院

治療後から、上唇の皮膚が乾燥してきた。
ヒリヒリは無くなり、痒みが出てきた。
ピクピクは消失している。
アクビをした時に唇が切れたので、ワセリンを塗っている。

診てみると、熱は引いており腫れもなくなっている。
良い兆候だ。
ヒリヒリ感の痒みへの変化や皮膚の乾燥は、
治癒過程で一時的に生じているもので
良い兆候である。
前回と同様の施術をして治療終了。

後日、電話にて痒みも無くなったとの報告を受けた。

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この症例では、五臓の肝の働きを回復させ、
痙攣している部位周辺の気血の流れを改善することに意を注いだ。

唇の痙攣に限らず眼の周辺がピクピクしたり、筋肉がヒキツル様な
筋の問題は、肝を調整することが多い。

 平成庚寅年 清明

不思議な歯の痛み

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ある年の9月中旬、40代女性が

歯の痛みで来院された。

歯痛は、つらいよ

場所は、左下の奥歯。
普段は痛みは感じないらしく、来院時は痛みは無かった。

しかし、食事中に激痛、また、夜中に疼きで睡眠不足となっており
毎日の生活に支障をきたしていた。
これが、約3ヵ月も続いているらしい。

歯科を受診するも、虫歯等の
痛みとなる原因は特定できなかった。
とりあえず鎮痛剤を処方されたが
効果が無いとのことである。

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とりあえず、痛みが出現するらしい奥歯周辺を
体表から診ることにした。

左右の頬を比べると、左の方が腫れている。

左の頚から肩にかけて
凝りがひどい。

まず、五臓の調整を行った。
調和のとれた心地よい脈へと変化する。

次に、頚の後ににツボをとる。
頚肩のコリが、ほぐれて柔らかくなる。

最後に、左腹部から帯脈(たいみゃく)というツボをとる。
歯痛のある左頬がすっきりしてくる。

以上で、治療終了。

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施術後、肩がとても楽になったとのこと。

しかし、歯痛に関しては、
食事をとる、または夜でないと効果が判定できない。

翌日電話にて
歯痛は、ほとんど消失し、よく眠れたとのこと。

2回目の治療で、痛み完全消失し、治療終了。

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西洋医学から診て

痛みの原因が特定できずとも

東洋医学の視点から、

気血の滞りを見つけ出し、

それを解消することで

痛みは消失することが多いものだ。

平成己丑年壬申月庚子日 処暑

長男発熱

室見川

先日、家族そろって室見川で遊んできた。

お天気はくもり。

日差しは強すぎずとても快適であったが、川の水はけっこう冷たかった。

夕刻

川遊びの疲れからか、6歳になる長男が熱を出した。

体温計は37.8℃を示している。

さっそく、身体にチョンチョンと針をして邪気をはらう。
左肩甲骨のあたりより邪気が出る。

夜10時ごろ、
今度は、手の水掻きのところをチョンチョン。
呼吸が深くなる。

解熱のツボ

翌日までに熱が下がらなければ小児科を受診することにしたが、
翌朝には熱は下がり
体温は36.3度の平熱であった。

長男、何事も無かったかのように
ご飯モリモリ食べていた。

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カゼの初期は、速やかに邪気を追い出すことで治すことが出来る。
特に子供は、生命力が旺盛なので
微細な刺激で十分に邪気を追い払う力が活性化される。

邪気は汗などと一緒に抜けるわけであるが、
その時の汗はベトベトしていたり臭いがきつかったりと
普段の汗とは質に違いがある。

平成己丑年壬申月甲申日 立秋

逆子

鍼灸重宝記 妊婦

鍼灸重宝記 妊娠

29歳 妊娠7ヶ月

産婦人科で逆子体操を指導され、自宅にて行っているとの事。

来院時、カゼ気味であり、鼻水・セキの症状有り。
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脈は、沈んでいる。
本来妊婦の脈はもっと大きいはずである。
本人曰く、冷え性である。

お腹を診ると、下腹部がかなり冷えている。
また、この部位にはクスミが強く現れており
邪気の停滞が考えられる。

飲食について伺うと、
コッテリしたアイスクリームや甘いものをよく摂取するらしく
湿邪を念頭において観察する。
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生命力を高めるために、肺の臓の働きを強めることにした。
施鍼後、脈が浮いてくる。

逆子の治療のために、三陰交(さんいんこう)のツボに鍼を施す。
施鍼後、下腹部が温まる。

横臥の状態で、仙骨周辺にも鍼を施す。
施術開始後すぐに、お腹がポコポコと動き始める。

右至陰(しいん)のツボに灸を多数施す。
背術中に突然、コロッと胎児の頭の位置が移動し、お腹の形が変わる。

胎児が、骨盤にしっかり下がって安定した印象を受ける。

これで、この日の施術は終了。

後日、検診にて逆子が直っている事が確認できた。

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胎児の頭は邪気の部位を避ける傾向がある。
鍼灸によって下腹部の邪気(寒邪・湿邪)がうまく取り除かれたことにより
胎児の頭は正しい位置に復する事ができた。

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この例に限らず、施術中に胎児が活発に動き出すことは多い。

逆子の鍼灸治療については、既に多くの報告がされており

鍼灸院に限らず産婦人科においても試みているところもあるようだ。

かなりの確率で、効果が期待できるので

逆子で悩んでいる方は、ぜひとも試みて頂きたいものだ。

平成己丑年辛未月己巳日 大暑

肺炎による微熱

水火から見た微熱のバランス状態

水火から見た微熱のバランス状態

主訴:微熱  60才代 女性

その他の症状:腹が張る

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1ヶ月前より肺炎を患い、自宅近くの内科にて抗生物質による化学療法を受ける。

現在、肺炎治療は終了しており、投薬は無い。今後の受診予定は無いとのこと。

微熱が継続している。今朝の体温37.1度(平熱は35度)。

とにかく、微熱を治したいということで来院。

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細身で、皮膚の乾燥がみられる。

声に力が無い。

脈は、沈んで細く硬い。

脾の臓の脈が特に硬く感じる。

上腹部が、張っている。

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肺炎とその治療により身体が深く傷ついたと考えられ

気血共に消耗した状態である。

体表観察により、脾の臓の働きを活性化させることで

五臓(肝・心・脾・肺・腎)の調和が取れると判断した。

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施術後、上腹部の張りは消失し、つかえた感じもなくなった。

週に1および2回の頻度で治療を行い。

約1ヵ月で微熱は消失した。

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微熱は、水火のバランスで捉えることが可能だ。
何らかの原因で水を消耗し相対的に火の力が増した状態である。

よって、今回は「水をいかに増やすか」を念頭にツボを選択し、治療を組み立てた。

平成己丑年辛未月癸丑日 小暑